Facebook、起動時に動画を最初に開く「Reels-first」をインドで拡大テスト|企業ページ運用への影響

misosil編集部

Metaが、Facebookのアプリを開いた直後に全画面のReelsを表示する「Reels-first」の体験を、インドで拡大してテストしている。TechCrunchが2026年10月6日に報じ、Social Media Todayも同日に続いた。従来のニュースフィードは、新しいタブに移る形だ。

日本のFacebookページを運用している担当者にとって、気になるのは「自社の投稿は、いつ、どの画面で見られるのか」という点だろう。現時点で、日本での提供は発表されていない。一方で、Metaは2027年に米国へ広げる可能性にも触れており、動画を入口にする方向そのものは明確になってきた。

この記事では、報じられているテストの内容、2026年7月の発表からの経緯、そして日本の企業ページ運用者が今のうちに備えておきたい点を整理する。

報じられているテストの内容

Social Media Todayによると、テストの対象はインドの一部のFacebook利用者だ。アプリを開くと「Reels are now front and center(Reelsが最前面になりました)」という趣旨のポップアップが表示され、そのまま利用者におすすめされるReelsフィードに移る。従来のニュースフィードは、新たに設けられたタブから見に行く。

TechCrunchは、テスト中の利用者が従来のフィード優先の表示に戻せると伝えている。つまり、全員を強制的に切り替えるのではなく、選べる余地を残した設計だ。

項目報じられている内容
表示アプリ起動時に全画面のReelsを開く
ニュースフィード新しいタブに移動し、そこから閲覧できる
元に戻す操作テスト中の利用者はフィード優先の表示に戻せる
対象地域インド。Metaの担当者がインドネシアでも実施中と認めたとTechCrunchが報じた
期間一部のインド利用者では数か月続いており、今回拡大されたとSocial Media Todayが伝えている
日本での提供発表されていない

対象の利用者数や、どの国で次に始まるかは、Metaから示されていない。ここは、後の報道で変わりうる部分だ。

2026年7月の発表からの経緯

今回の拡大は、突然の話ではない。Facebookは2026年7月24日に、アプリを開いたときに没入感のある全画面の動画体験が始まる仕組みのテストを始めると発表した。Barrett Mediaの報道によれば、Metaは「来年にさらに多くの利用者へ広げることを検討する」としている。

Facebook責任者のTom Alison氏は、「人々は、より没入感のあるビジュアル中心の、動画寄りの体験を求めていることを示している」と述べたと伝えられている。TechCrunchによれば、同氏は7月の時点で、このテストを米国以外の「動画の利用が多い国」で年内に始め、米国には2027年に導入することを検討すると説明していた。今回のインドでの拡大は、この予告に沿った動きだ。

その土台になっているのが、Facebookの動画の位置づけの変化だ。TechCrunchは、Metaが昨年「新しいFacebookの動画はすべてReelsとして共有される」と発表し、アプリの「動画」タブを「Reels」に改称したことにも触れている。動画をReelsに一本化する流れの先に、起動画面そのものを動画にする今回のテストがある。

Facebookの起動画面について、従来のフィード先頭の表示と、Reels先頭の表示を比べ、ニュースフィードが第2のタブに移る点を示した図解

起動直後の画面の違い。Reels-firstではおすすめのReelsが先に開き、ニュースフィードは別のタブから見に行く

なぜMetaは動画を入口にするのか

Metaが公表している数字から、背景を読み取れる。

  • TechCrunchによれば、Metaは若い成人がFacebookで過ごす時間のおよそ60%を動画の視聴が占めると説明している
  • Social Media Todayは、動画のエンゲージメントがFacebookとInstagramでの滞在時間の60%を占め、両サービスで毎日35億本を超えるReelsが共有されていると伝えている
  • TechCrunchによれば、Metaは2026年6月に、回答者の少なくとも97%が毎日同社のサービスで動画を見て、Z世代の回答者の89%が毎日Reelsを使うという調査結果を公表した
  • Barrett Mediaは、ReelsがFacebookとInstagramを合わせて年換算500億ドルの規模に達し、広告収益ではYouTubeを上回ると伝えている

これらは、いずれもMetaの発表や報道に基づく数字で、日本の利用者にそのまま当てはまるとは限らない。それでも、Metaが「利用時間の中心はすでに動画にある」と見ていることは読み取れる。入口を動画にするのは、その見立てを画面の設計に反映する動きだと言える。

なお、インドはFacebookの利用者数が最も多い市場で、Metaの広告ツール上の想定オーディエンスは4億人を超えるとTechCrunchは伝えている。大きな市場で、動画の利用も多いことから、最初のテスト地域に選ばれたとみられる。

Instagramで進む同じ方向のテスト

同じMetaのInstagramでも、似た動きがある。Social Media Todayは、Instagramの利用者がホームの初期表示をReelsにできる選択肢も、あわせてテストされていると伝えている。Instagramについては、Instagram、アプリ起動時にReelsを最初に開く選択肢をテスト|昨年の経緯と企業アカウントへの影響で、2025年のインド・韓国での先行テストからの流れを整理している。

FacebookとInstagramの両方で、起動時に動画を見せる試みが同時に進んでいる点は押さえておきたい。どちらか一方の設計変更ではなく、Metaのアプリ全体で「動画が先、フィードは後」という方向を試している。

日本の企業ページ運用者の視点|フィードが第2のタブになると何が変わるか

ここからは、日本のFacebookページを運用する担当者の立場で、仮にこの設計が日本にも来た場合を考える。以下は報じられた内容からの推測を含むため、実際の影響は提供後の数字で確かめる必要がある。

「フォロー中の投稿が最初に見られる」前提が崩れる

これまでFacebookページの投稿は、フォロワーがアプリを開いた直後のニュースフィードに並ぶことで、一定の閲覧機会があった。Reels-firstを選ぶ利用者にとっては、その機会が一手間かけたタブ移動の先に下がる。画像付きの投稿や、リンクを添えた告知を中心にしてきたページは、フィード経由の閲覧が薄くなる可能性がある。

ただし、テスト中の利用者は元の表示に戻せる。どれだけの利用者が戻すのかは公表されていない。この割合しだいで、影響の大きさはまったく変わる。数字が出るまでは、極端な方針転換を急がないのが現実的だ。

動画の「最初の数秒」が、ページの発見のされ方を左右する

起動時に開くReelsは、フォローしていないアカウントの動画も含むおすすめが中心になる。利用者が最初に目にするのは、ページ名よりも動画の冒頭の数秒だ。商品名の連呼や長いロゴ演出ではなく、悩みの提示や結果の見せ方で、最初の1〜2秒に目を止めさせる作りが問われる。

撮影や編集の工数が重いなら、既存の素材を再編集するところから始めるのが現実的だ。同じMetaのInstagram向けには、素材を選ぶだけでリールの下書きを作る機能も出ている。詳しくはInstagram「First Draft」登場、複数クリップから10秒でリールの土台を自動生成する新機能を解説で扱っている。

自社フォロワーの使い方で、影響の出方が変わる

Facebookは、趣味の動画を眺める場としての使い方と、取引先や知人の近況を確かめる場としての使い方が混在している。起動時の全画面動画がどれだけ受け入れられるかは、フォロワーの使い方しだいで変わりうる。BtoB企業のページでは、フィード中心の閲覧が残る可能性もある。

自社のフォロワーがどちらに寄っているかは、ページのインサイトで年齢層ごとの閲覧傾向や、動画とリンク付き投稿の反応の差を見ると、おおよその見当がつく。

広告運用者は配信面の変化を見ておく

Metaの広告は、FacebookとInstagramの両方のフィードやReelsに配信される。起動時の画面がReelsに変われば、利用者の滞在の中心もReelsに寄りうる。広告の配信面別の成果を普段から見ている場合は、Reelsとフィードの比率が変わっていないかを、定期的に確認しておくとよい。配信面の扱いが変わった最近の例としては、Meta広告、広告セットの配置除外・プラットフォーム除外を廃止へ|「詳細ターゲット除外」廃止との違いと企業アカウントの対応策も参考になる。

今から用意できる3つの備え

テストの段階で大きな運用変更をする必要はない。一方で、次の3つは費用をかけずに準備できる。

  1. 投稿種別ごとの基準値を残す。 画像、リンク付き、動画、Reelsのそれぞれについて、リーチと反応の数を月ごとに記録しておく。変化が出たときに、原因を切り分けられる
  2. Reelsの制作ラインを小さく用意する。 週1本でも、決まった型で出せる体制があれば、提供開始後に慌てずに済む。既存の動画素材の再編集から始めてよい
  3. フィード投稿を捨てない。 報じられている設計では、従来のフィードは別タブとして残る。役割を分けて、告知や詳細情報はフィードとページに、発見の入口はReelsに置く

指標の設計そのものは、SNSのKPI設計|媒体別の指標一覧とレポートの作り方が土台になる。

よくある質問

日本のFacebookでも、起動時にReelsが開くようになるのか

現時点で、日本での提供は発表されていない。テストの対象はインドとインドネシアと報じられており、Metaは米国への導入を2027年に検討すると説明している。日本の扱いは示されていないため、正式な案内が出るまでは今の画面を前提に運用してよい。

従来のニュースフィードは使えなくなるのか

報じられている設計では、ニュースフィードは新しいタブとして残る。テスト中の利用者は、フィード優先の表示に戻すこともできる。フィードそのものが廃止されるという情報は出ていない。

企業ページは、Reelsを必ず作らなければならないのか

必須とは言えない。ただ、MetaがFacebookの動画をReelsに一本化し、起動画面にも動画を据える方向を試していることを踏まえると、Reelsを1本も出さない状態は、発見の機会を減らす可能性がある。まずは小さく始めるのが現実的だ。

Instagramとの違いは何か

どちらも、起動時にReelsを開く選択肢が試されている。Instagramでは利用者が初期表示を選ぶ形のテストが報じられており、Facebookでは全画面動画の体験が始まり、フィードは別タブに移る設計だ。いずれも限定的なテストで、仕様は今後変わりうる。

まとめ

  • Facebookは、アプリ起動時に全画面のReelsを開く「Reels-first」を、インドで拡大してテストしていると2026年10月6日に報じられた。Metaの担当者はインドネシアでも実施中と認めている
  • 2026年7月24日の発表が出発点で、Metaは米国への導入を2027年に検討するとしている。日本での提供は発表されていない
  • 従来のニュースフィードは別タブに残り、テスト中の利用者は元の表示に戻せる
  • 企業ページは、投稿種別ごとの基準値の記録、小さなReels制作ライン、フィード投稿との役割分担の3点を、費用をかけずに用意できる

Facebookの起動画面は、フィード中心から動画中心へと試行が続いている。Metaから日本向けの案内が出た段階で、本記事も更新していく。

出典

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