Pinterestで提携なしにクリエイターのPinを広告化できる新機能とは?企業が押さえる運用と配慮

misosil編集部

Pinterestが、ブランドが事前の提携契約を結んでいないクリエイターのPinを見つけて広告として宣伝できる仕組みを広げた。2026年10月7日付のSocial Media Todayや、MediaPostの報道によると、対象は自社商品に関連するクリエイターのPinで、クリエイターには通知メールが届き、アカウント単位でオプトアウトもできる。

従来は、クリエイターがPinに有料パートナーシップのラベルを付け、ブランドが承認して初めて「Idea広告」として宣伝できた。つまり「クリエイターが先に声をかけ、ブランドが承認する」という順序が前提だった。新しい選択肢は、この順序を逆転させる。ブランドが、すでに投稿されている自社関連のPinを自分から選べるようになる。

企業アカウントの運用者にとっては、使える素材の幅が広がる話であると同時に、クリエイター側の合意や権利の扱いをどう設計するかという運用課題が生まれる話でもある。本記事では、報じられている仕様、従来機能との違い、運用フロー、日本での扱いを整理する。

報じられている新機能の概要

Social Media Todayは、Pinterestがクリエイターコンテンツの収益化ツールを拡張し、ブランドが商品に関連するクリエイターのPinを探して宣伝できるようにしたと伝えている。Pinterestの説明として引用されているのは次の趣旨だ。

  • 「ブランドは、あなたがPinterestで作成した対象のPinを宣伝できる」
  • 「ブランドがあなたのPinの宣伝を決めた場合、メールが届く」

MediaPostは、クリエイターがコンテンツ宣伝をオプトアウトできること、オプトアウトしても、クリエイターがすでに実行中のキャンペーンには影響しないことを報じている。クリエイター向けのコツとして、Pinのタイトルや説明文にブランド名を入れること、購入につながるショッピング対応のコンテンツを作ること、ブランドセーフな内容を保つことも挙がっている。

報道から読み取れる要点を表にまとめる。

項目報じられている内容
対象ブランドの商品に関連する、対象条件を満たしたクリエイターのPin
事前の提携不要(従来のパートナーシップラベルは別機能として存続)
クリエイターへの通知ブランドが宣伝を決めるとメールが届く
クリエイターの選択肢個別の宣伝を許可・拒否できる。アカウント単位でオプトアウトも可能
既存キャンペーンへの影響オプトアウトしても実行中のキャンペーンには影響しない
提供地域・開始時期報道では明示されていない
対象Pinの条件「対象となる」とされるのみで、詳細は報道では示されていない

対象Pinの詳細な条件や課金面の取り扱い(クリエイターへの報酬の有無など)は、報道では触れられていない。今回の機能の詳しい仕様は、Pinterestの公式ヘルプではまだ案内されていない。細部は公式の案内を待つ必要がある。

ブランドが提携なしでクリエイターのPinを広告化するまでの流れと、従来のパートナーシップ経由との違い 従来は「クリエイターが提携を申請しブランドが承認」、新機能は「ブランドが選び、クリエイターに通知」という順序になる

従来の有料パートナーシップ機能との違い

Pinterestの公式ヘルプによると、有料パートナーシップのラベルは、Pinterest外で既に提携関係があるブランドを、クリエイターがPinにタグ付けする機能だ。仕様の要点は次のとおり。

  • 1つのPinにタグ付けできるブランドは1社
  • AndroidまたはiOSのPinterestアプリでのみ設定できる
  • ラベルは公開前に設定する必要があり、公開後には追加できない
  • ブランドには通知メールが届き、承認または拒否する
  • 承認されるとブランド名がラベルに表示され、拒否されるとラベルが外れる
  • 承認済みのラベル付きPinを宣伝できるのは、提携先のブランドだけで、クリエイター自身は宣伝できない

さらに、Pinterestのクリエイター向けページには、提携が成立するとブランドがそのPinをIdea広告として宣伝できると書かれている。

新機能との違いを並べる。

観点有料パートナーシップ経由提携なしの広告化
きっかけクリエイターのタグ付けブランドによる投稿の選択
事前合意Pinterest外で提携関係がある前提前提とされていない
開示ラベル有料パートナーシップのラベルが付く報道では表示の扱いが示されていない
クリエイターの関与投稿前に自分で設定通知を受け、拒否やオプトアウトで対応
ブランド側の主導権承認するか否か宣伝する投稿を自分で選べる

ここで運用上いちばん大きな違いは、開示ラベルの扱いだ。有料パートナーシップ機能は、広告主との関係を利用者に示す仕組みでもある。提携なしの広告化でどのような表示になるかは、報道では明らかになっていない。表示の仕様が公式に出た段階で、社内ガイドラインを見直すべきだ。

企業アカウント運用者にとっての活用シーン

提携なしで使える素材が増えることは、次の場面で効果を発揮する。

自然発生した好意的な投稿の拡張。 商品を自腹で買って使い方をまとめたPinは、広告クリエイティブとして制作費をかけずに使える。ブランド名がタイトルや説明文に入っているPinは、Pinterestが推奨する条件にも合う。

ショッピング対応コンテンツの強化。 Pinterestはクリエイターに対し、購入につながるコンテンツを作るよう促している。商品ページへの導線があるPinを広告化すれば、検索意図の強い層に届く。

テスト用の素材の確保。 同じ商品でも、クリエイターごとに切り口が違う。広告化する前に、保存数やクリック数が伸びているPinを選ぶことで、クリエイティブの当たり外れを減らせる。

ただし、素材が増えることと、広告成果が出ることは別の話だ。広告の目的設定や評価の考え方は、Pinterest、広告キャンペーン目標「コンバージョン」「カタログ販売」を整理し新名称3種類に統合で整理しているキャンペーン目的の選び方と合わせて決める。広告アカウント全体の品質は、Pinterest、広告設定をAIが採点する「最適化スコア」をAds Managerに導入の最適化スコアで点検できる。

クリエイター側への配慮と権利の整理

この機能が実際に使えるようになったとき、企業側が最も気をつけるべきなのはクリエイターとの関係だ。通知メールが届き、拒否もオプトアウトもできる設計になっているのは、クリエイターの意向を尊重する仕組みを備えているということだ。

通知を受けたクリエイターの受け止め方

クリエイターは、自分の投稿が見知らぬブランドの広告に使われる通知を受け取る。報酬の取り決めがなければ、「無償で広告素材にされた」と感じる人は出る。拒否されたり、SNSで不満を発信されたりすれば、ブランドの評判にも響く。

対策として、広告化する前にDMやメールで一言連絡する運用を勧める。Pinterestの通知はあくまでプラットフォーム側の最低限の仕組みであり、ブランドからの個別連絡の代わりにはならない。

権利と許諾の考え方

日本の法律では、投稿画像や動画の著作権は原則として制作したクリエイターに帰属する。プラットフォームの利用規約上、どこまでの利用が許されるかとは別に、商用広告としての利用を自社の判断で行うことが、契約上・信用上問題ないかは社内で確認する必要がある。

確認しておきたい観点を挙げる。

  • クリエイターの顔や声、第三者(家族や友人)が写っていないか
  • 他社商品や他社ロゴが同時に写っていないか
  • BGMなど、第三者の著作物が含まれていないか
  • 投稿内容が景品表示法の観点で問題ないか(効能効果の断定、誇大表現など)
  • 広告化によって、クリエイターが意図していない文脈で使われないか

社内承認フローの設計例

広告化の可否を担当者の裁量に任せると、判断がぶれる。次のような段階を設けると運用しやすい。

段階内容担当
1. 候補抽出商品関連のPinを収集し、保存数・クリック数・コメントを記録運用担当
2. 内容確認権利、表現、ブランドセーフティを上のチェック項目で点検広報・法務
3. 事前連絡クリエイターに広告化の意向と期間を連絡運用担当
4. 出稿承認済みPinのみを広告化、期間と予算を管理表に記録運用担当
5. 事後確認苦情・拒否の有無、成果を確認し、次回の基準に反映責任者

クリエイター側から拒否やオプトアウトがあった場合は、速やかに配信を止められる体制も必要だ。広告化後に連絡が取れなくなるケースを避けるため、連絡先を管理表に残しておく。

報酬を伴う提携への切り替え

成果の高いPinを繰り返し使うなら、提携なしの広告化にとどめず、正式な提携に切り替える選択肢がある。提携にすれば、有料パートナーシップのラベルによる開示も整い、クリエイターとの関係も安定する。クリエイターの探し方は、インフルエンサーの探し方【企業向け】無料の検索方法とツール・選定基準で整理した方法が使える。

日本での提供状況と運用開始前の準備

公式発表では、日本での提供時期は明らかになっていない。報道でも提供地域は示されていない。また、Pinterestの公式ヘルプによれば、関連機能の「Promote a Pin」は米国の一部アカウント向けに段階的に提供されている。新機能も段階的な展開となる可能性はあるが、現時点では推測の域を出ない。

日本のブランドが今できる準備は、次の3点だ。

  1. 自社関連Pinの棚卸し。 ブランド名や商品名で検索し、クリエイターが投稿したPinを把握する。
  2. 社内ルールの先行整備。 上で挙げた承認フローや権利確認のチェック項目を、実際の提供開始前に決めておく。
  3. KPIの設計。 提携なし広告化の成果を、通常広告とどう比較するか決める。指標の設計は、SNSのKPI設計|媒体別の指標一覧とレポートの作り方の考え方を応用できる。

また、日本向けに機能が提供された場合は、広告アカウントの設定画面や、Pinterest公式のヘルプで条件を確認してから出稿する。

よくある質問

Q. ブランドは、どのクリエイターのPinでも広告化できるのか。 報道では「対象となるPin」とされており、条件の詳細は示されていない。ショッピング対応であること、ブランドセーフであることが、クリエイター向けの推奨として挙がっている。

Q. クリエイターに報酬は支払われるのか。 報道では、報酬や費用の分配について触れられていない。公式の案内が出るまで、断定はできない。

Q. クリエイターは広告化を断れるのか。 断れる。報道によると、個別の宣伝を許可または拒否でき、アカウント単位でオプトアウトもできる。オプトアウトしても、実行中のキャンペーンには影響しない。

Q. 有料パートナーシップのラベルは付くのか。 報道では、提携なしの広告化での表示の扱いは明らかになっていない。従来のラベルは、クリエイターがPinにブランドをタグ付けし、ブランドが承認した場合に表示される。

Q. 日本でも使えるのか。 公式発表では、日本での提供時期は明らかになっていない。

Q. 自分のPinを広告化されたくないクリエイターは、どうすればよいか。 オプトアウトの設定を使う。報道では、その設定により広告化の対象外にできるとされている。具体的な設定画面は、公式ヘルプで案内されるのを待つ必要がある。

まとめ

Pinterestの新機能は、ブランドが提携なしでクリエイターのPinを選び、広告として宣伝できるようにするものだ。クリエイターにはメールが届き、個別の拒否やオプトアウトも用意されている。従来の有料パートナーシップが「クリエイター主導」だったのに対し、今回は「ブランド主導」へと広がった。

企業の運用担当者が押さえるべきことは3つある。第一に、提供地域や開始時期、表示ラベルの扱い、課金の詳細は、公式の案内で確定するまで前提にしないこと。第二に、通知があるからといって合意が取れたわけではなく、広告化前にクリエイターへ個別に連絡する運用を持つこと。第三に、権利・表現・ブランドセーフティの確認を、社内の承認フローに組み込むことだ。

素材を増やせる機能だからこそ、クリエイターとの信頼を損なわない運用ルールが、成果以上に長く効いてくる。

出典

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