X「Under the Hood」拡張、政府による投稿制限の有無と対象国をJSONで確認可能に

misosil編集部

Xが2026年9月19日から21日にかけて、透明性機能「Under the Hood」を拡張したと発表した。米TechCrunchが9月21日付で報じたところによると、新たに追加されたのは「自分の投稿やアカウントが、政府の要求によって制限を受けているかどうか」を確認できる仕組みだ。制限の有無だけでなく、どの国からの要求かという情報までJSON形式のデータで確認できる。エンゲージメントの急な落ち込みを「アルゴリズムのせいか」「規制のせいか」と疑ってきた運用者にとっては、初めて根拠を持って切り分けられる材料が増えたことになる。

何が追加されたのか

X Open Source公式アカウントの発表によれば、Under the Hoodはこれまで、直近1か月にアカウントや投稿へ付与されたラベルを確認できる機能だった。今回の拡張で、その表示内容に「政府の法的要求によって投稿やアカウントの可視性が制限されたかどうか」という項目が加わった。制限があった場合は、要求元の国・地域も併せて表示される。

対象になるのは、Xが「有効かつ適切」と判断した政府からの法的要求に基づく制限で、具体的には次のようなケースが含まれる。

  • 投稿のリーチ(表示範囲)が縮小されるダウンランク
  • 特定の国・地域での投稿の非表示(国別の表示制限、いわゆるカントリー・withheld)
  • アカウント単位での可視性制限

一方で、検索結果からの除外やトレンドからの除外など、法的要求に基づかない通常のモデレーション措置とは区別して扱われる。つまり「なぜ伸びないのか」の全部を説明する機能ではなく、あくまで政府要求に起因する制限に絞った透明性情報である点には注意したい。

確認方法と利用条件

確認はXアプリ内のアカウント設定にある「Under the Hood」のセクションから行う。ここから自分のアカウント・投稿に関するレポートをJSON形式のファイルとしてリクエスト・ダウンロードできる。JSONはそのままでは読みにくいため、TechCrunchの記事では「技術に詳しくない利用者はAIチャットボットにファイルを読み込ませて内容を説明させるとよい」という趣旨の案内がされている。実務上も、ダウンロードしたJSONをChatGPTやClaudeなどに貼り付けて「制限の有無と対象国を要約して」と頼むのが手早い。

利用にはXの通常のアクティビティ要件を満たしていることが条件になる。海外メディアの報道では、目安として前月に10件以上投稿していることが挙げられており、投稿実績が乏しい休眠気味のアカウントではレポートを取得できない、または情報が限定される可能性がある。自社の運用アカウントで試す際は、直近の投稿頻度がこの目安を満たしているか先に確認しておくと無駄がない。

Xの透明性機能「Under the Hood」で政府による投稿制限の有無と対象国を確認する流れを示した図解 Under the Hoodで確認できる制限の種類と、企業アカウントが取るべき確認フローのイメージ

Under the Hoodはここ数か月で拡充されてきた透明性機能

Under the Hoodというブランド自体は今回が初出ではない。Xは2026年8月にも、ランキングアルゴリズムの一部オープンソース化と合わせて、自分の投稿がシャドウバン状態にあるかどうかを確認できるツールをUnder the Hoodの名称で導入したと報じられている。今回の政府要求に関する制限表示は、その延長線上でXが継続的に機能を積み増してきた結果の最新版という位置づけだ。8月時点の機能とは確認できる内容が異なる別の追加機能であり、「シャドウバンの有無」と「政府要求による制限の有無」は別々の情報として扱われている点は区別して理解しておきたい。

X Open Sourceのアカウントは、今回の拡張について「政府が求めるコンテンツフィルタリングへの透明性を、利用者が評価してくれたことを受けて機能を広げた」という趣旨の説明をしている。ユーザーからの反応を見ながら段階的に情報開示の範囲を広げていく方針がうかがえる。

制限の種類と確認できる情報の整理

Under the Hoodで確認できる制限の種類を整理すると、次の表のようになる。

制限の種類内容影響範囲
リーチのダウンランク投稿の表示範囲・露出が縮小される投稿単位
国別の表示制限特定の国・地域でのみ投稿が非表示になる投稿単位(対象国限定)
アカウント単位の可視性制限アカウント全体の露出が制限されるアカウント単位
(参考)通常のモデレーション検索除外・トレンド除外など法的要求に基づかない措置Under the Hoodの対象外

この整理を見ると、Under the Hoodが答えてくれるのは「政府要求」という一つの軸に限られることが分かる。フォロワー数の伸び悩みやインプレッションの低下には、アルゴリズム側の要因、コンテンツポリシー違反、単純な投稿内容の問題など複数の原因があり得る。Under the Hoodのレポートで「制限なし」と出た場合でも、それは政府要求由来の制限がないという意味に過ぎず、他の要因を排除したことにはならない。

企業アカウント運用者はどう使うべきか

ここが今回のニュースで最も実務に効いてくる部分だ。企業の公式Xアカウントを運用している担当者にとって、Under the Hoodの新機能は単なる「話題の新機能」ではなく、海外展開や広告出稿の判断材料として使える。

進出国ごとの規制リスクの可視化に使う。複数の国・地域向けにXアカウントを運用している企業であれば、月次のレポーティングにUnder the Hoodのチェックを組み込む価値がある。特定の国でキャンペーン投稿のリーチが不自然に落ちている場合、それが単なるアルゴリズム上の変動なのか、政府要求による制限なのかをJSONの対象国情報から判別できる。後者であれば、その国での情報発信戦略やローカライズしたコンテンツの表現を見直す判断材料になる。

ブランドセーフティと広告出稿判断への影響を切り分ける。広告出稿を検討している国で自社の公式アカウントや関連投稿が政府要求により制限を受けていた事実が判明した場合、その国での有機的なリーチだけでなく、広告表示の面でもリスクが高まっている可能性を疑う材料になる。逆に「制限なし」と確認できれば、少なくとも政府要求由来のリスクは排除した上で出稿判断を進められる。

炎上・規制対応の初動フローに組み込む。海外市場で政治的にセンシティブなテーマを扱う投稿を行った直後にエンゲージメントが急落した場合、まずUnder the Hoodで政府要求による制限の有無を確認し、次に社内のモニタリング体制で言及量やネガティブな反応を確認するという二段構えの初動が組める。監視・初動・役割分担をあらかじめ整理しておく重要性は、炎上対策の体制づくり|クライシスマネジメントで整える監視・初動・役割分担でも触れている通りで、今回のような新しい確認手段が増えたことは、初動判断のスピードを上げる材料になる。

KPIレポートに「制限の有無」という定性項目を加える。エンゲージメント率やインプレッション数といった定量指標だけを追っていると、政府要求による制限が発生していてもその要因に気づきにくい。媒体別のKPI設計を見直す際に、SNSのKPI設計|媒体別の指標一覧とレポートの作り方で紹介されているような指標一覧に、月次でのUnder the Hoodチェック結果を定性項目として加えておくと、数値の異常値を見たときに原因の当たりをつけやすくなる。

よくある質問

Q. Under the Hoodは誰でも使えますか。 A. 通常のアクティビティ要件を満たしたアカウントが対象で、海外メディアの報道では前月に10件以上投稿していることが目安として挙げられている。投稿実績が少ないアカウントでは、レポートを取得できない、または表示される情報が限定される可能性がある。

Q. 政府要求以外の理由でリーチが落ちている場合も分かりますか。 A. 分からない。Under the Hoodが対象とするのは政府の法的要求に基づく制限に限られ、検索除外やトレンド除外といった通常のモデレーション措置、コンテンツポリシー違反による処置などは対象外とされている。リーチ低下の原因を総合的に判断するには、他の分析と組み合わせる必要がある。

Q. JSONファイルはどうやって見ればいいですか。 A. Xのアカウント設定内のUnder the Hoodのセクションからレポートをリクエストし、JSON形式でダウンロードする。内容を人が読みやすい形に要約したい場合は、AIチャットボットにファイルを読み込ませて解説させる方法が有効だとTechCrunchでも紹介されている。

Q. 8月に話題になったシャドウバン確認ツールとは別物ですか。 A. 別の情報として扱われている。8月に導入されたとされるツールは自分の投稿がシャドウバン状態にあるかどうかを確認するもので、今回追加されたのは政府要求による制限の有無と対象国を確認する機能だ。どちらもUnder the Hoodというブランドの下で提供されているが、確認できる内容は異なる。

まとめ

Xが「Under the Hood」に追加した今回の機能は、政府要求によるリーチのダウンランク、国別の表示制限、アカウント単位の可視性制限という3種類の制限について、有無と対象国をJSON形式で確認できるようにするものだ。確認はアカウント設定から行い、通常のアクティビティ要件(目安として前月10投稿以上)を満たしたアカウントが対象となる。

企業のSNS運用担当者にとっては、単に「新機能が出た」で終わらせず、進出国ごとの規制リスクの定点観測、広告出稿判断の材料、炎上時の初動判断、月次KPIレポートの定性項目という形で実務に組み込めるかどうかが問われる。特に複数国展開しているブランドであれば、月次のUnder the Hoodチェックをレポーティングのルーチンに加えておくことをおすすめしたい。

出典

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