YouTubeカスタムフィードが最大8個管理可能に。トピックチップ廃止で何が変わるか
YouTubeが2026年8月25日、プロンプト入力でホーム画面のおすすめを調整できる「カスタムフィード」機能の大幅拡張を発表した(Social Media Today, 2026年8月25日)。これまで一度に1個しか保持できなかったカスタムフィードを、最大8個まで同時に管理できるようにする。さらにモバイルアプリのホーム画面上部に並んでいた標準の「トピックチップ」を、このカスタムフィードで置き換える方針も明らかにした。2025年11月の初期テストから数えて3度目の拡張であり、YouTubeの「おすすめ表示」の設計思想そのものが変わりつつある動きだ。本記事では一次情報をもとに機能の詳細と経緯を整理し、チャンネル運営者・企業アカウントの担当者が押さえておくべき実務上の論点をまとめる。
2026年8月25日発表の内容
Social Media Todayの報道によれば、今回の拡張のポイントは次の3点に整理できる。
- 同時保持数の上限が「1個」から「最大8個」に拡大。ユーザーはホーム画面上部に並んだ複数のカスタムフィードをタブのように切り替えて閲覧できる。
- 各フィードは上部のテキストボックスからプロンプトを再編集可能。「おすすめの焦点を調整」できるとされ、作成後も継続的にチューニングできる仕組みになった。
- モバイルアプリの標準トピックチップをカスタムフィードが置き換える。これまでホーム画面上部にあった「音楽」「ゲーム」といった固定カテゴリのチップ列が、ユーザー自身が作成したプロンプトベースのフィードに差し替わる。
展開対象は米国のサインイン済みユーザーで、モバイル(Android・iOS)とデスクトップの両方が対象になっている。Tubefilterの報道では展開開始が8月24日からとされており(Tubefilter, 2026年8月26日)、発表と実際のロールアウトがほぼ同時に進んだ形だ。同記事はこの動きを、ユーザーが自分でフィードの構成をカスタマイズできるBlueskyの「カスタムフィード」機能への対抗軸として位置づけている。
なお非アクティブなプロンプトは「数週間後」に期限切れになるとされており、無制限に8個を保持し続けられるわけではない点は留意したい。具体的な失効日数までは今回の報道では明言されておらず、この部分は「数週間で失効するとみられる」程度の表現にとどめておく。

2025年11月のテスト開始から2026年8月の8個管理・トピックチップ置き換えまでの拡張の流れ
2025年11月から2026年8月までの拡張の経緯
カスタムフィードは今回いきなり登場した機能ではない。GetNavi webが2025年11月28日に報じたところによれば、初期テストでは「Your Custom Feed」という名称で、ホームボタンの隣に新しいタブが表示される形で導入された(GetNavi web, 2025年11月28日)。当時の課題意識は明確で、「ディズニー関連の動画を数本観ただけで、同じ系統の動画が延々と表示される」といった、アルゴリズムがユーザーの意図を過大に解釈してしまう問題への対処だった。ユーザーが「興味なし」を個別に押し続ける手間を省き、能動的に「観たいもの」を言葉で指定できるようにする狙いだったといえる。
2026年5月には対象ユーザーを広げる形で機能が拡大した。テクノエッジの報道では、検索バー横に新設されたカスタムフィードボタンからプロンプト入力欄を開き、「仕事帰りの疲れを癒やすため、10分以内のガイド付き瞑想でリラックスしたい」のような具体的な条件を入力する使い方が紹介されている(テクノエッジ, 2026年5月28日)。この時点ではまだ「一度に1つのみ」保持できる仕様で、30日間操作がなければリセットされる点も、現在のYouTubeヘルプページの記述と一致する(YouTubeヘルプ, 参照日2026年8月28日)。
| 時期 | 同時保持数 | 提供対象 | 主な仕様 |
|---|---|---|---|
| 2025年11月 | 1個のみ | 米国・英語ユーザー(限定テスト) | ホームボタン隣に新タブ、意図の言語化を可能に |
| 2026年5月 | 1個のみ | 米国・英語ユーザー(拡大テスト) | 検索バー横のボタンからプロンプト入力、30日で失効 |
| 2026年8月 | 最大8個 | 米国のサインイン済みユーザー(モバイル・デスクトップ) | 複数フィードの同時管理、トピックチップを置き換え |
こうして並べると、YouTubeが約9ヶ月かけて「ユーザーが言葉で指定したフィード」を、テスト機能から標準UIの主要な構成要素へと格上げしてきた流れが見える。トピックチップという「YouTube側が用意したカテゴリ」を、「ユーザー自身が作った複数のカテゴリ」に置き換える今回の変更は、その集大成に近い。
トピックチップ廃止が意味すること
トピックチップは、YouTubeのホーム画面上部に表示される「音楽」「ゲーム」「最近アップロードされた動画」といった固定ラベルのチップ列で、タップするとそのジャンルに動画が絞り込まれる仕組みだった。この設計は、YouTube側があらかじめ用意した少数のカテゴリの中から選ばせるという、いわば「棚に並んだ商品から選ぶ」タイプのUIだ。
これに対してカスタムフィードは、ユーザーが自分の言葉でプロンプトを書き、それに応じた動画群が生成される。Tubefilterはこの変化を「ユーザーの視聴活動における共通スレッドのアルゴリズム推奨」から、より特定のニーズに対応する仕様への移行と表現している。つまり、これまでYouTubeの推薦アルゴリズムが視聴履歴から暗黙的に読み取っていた興味関心を、ユーザーがプロンプトという形で明示的に指定する方向にシフトしているということだ。
この変化はUIの見た目以上の意味を持つ。トピックチップは全ユーザー共通の少数カテゴリだったため、あるチャンネルが「ゲーム」チップの中で存在感を示せれば、そのチップを開いた不特定多数のユーザーにリーチできた。一方カスタムフィードは、ユーザーごとに文言も条件も異なる無数のプロンプトに応じて動画が選ばれる仕組みであり、同じジャンルの動画であっても「どのプロンプトに一致するか」によって表示されるかどうかが変わってくる。共通の入口が、個人ごとに異なる無数の入口へと分散していくイメージだ。
企業アカウント運用者の「見つけてもらいやすさ」戦略への影響
ここが本記事で最も強調したい論点だ。カスタムフィードへの一本化は、チャンネル運営者・企業アカウントの担当者にとって、動画が「発見される経路」の性質を変える可能性がある。
これまでのYouTubeのおすすめ表示は、視聴時間や関連動画のクリック率、チャンネル登録といった行動データをもとに、YouTube側のアルゴリズムが「この動画は誰に見せるべきか」を推定する設計が中心だった。運用側からすれば、動画の内容そのものとサムネイル・タイトルのクリック率を最適化していれば、アルゴリズムが適切な視聴者に届けてくれるという前提があった。
一方カスタムフィードが標準の発見経路の一角を占めるようになると、動画が「ユーザーが実際にタイプしたプロンプトの文言」と意味的にどれだけ一致するかが、表示されるかどうかに直接影響する構造になる。これは検索エンジンにおけるキーワードマッチングや検索意図の一致に近い発想であり、YouTube内の「おすすめ」がある程度「検索」に近づいていくとも言える。実際、YouTubeは同時期に検索領域でもAIチャットボット「Ask YouTube」の対象ユーザーを拡大しており(詳細はYouTube「Ask YouTube」AIチャットボットの展開拡大に関する記事で解説した)、視聴前の「探す」体験全体が自然言語ベースの入力を軸に再構成されつつある。
具体的には、次のような変化が想定される。
- 偶然の露出機会が減る可能性。トピックチップ経由で「ついでに見つけてもらう」導線が縮小し、動画がユーザーの明示的な言語化に引っかかるかどうかが重要になる。
- タイトル・説明文の「シーン語彙」が効きやすくなる。プロンプトには「仕事帰り」「10分以内」「初心者向け」のような状況・条件を表す言葉が多く使われる傾向があるため、動画側にも同種の語彙を含めておくことで一致しやすくなる可能性がある。
- チャンネルの一貫性がこれまで以上に重要になる。プロンプトへの一致は単発動画だけでなく、チャンネル全体のテーマの一貫性からも判断されると考えられ、投稿ジャンルが分散しているチャンネルは不利になりうる。
なお、これらはYouTubeのアルゴリズム内部仕様が公開されているわけではないため、あくまで今回発表された機能の設計思想から導かれる推論であることは断っておきたい。断定的な因果関係ではなく、「そう考えられる」という前提で運用方針を検討する必要がある。
企業アカウント運用者が今すぐ確認すべきこと
上記を踏まえ、運用担当者が今の時点でできる対応を整理する。
| 対応項目 | 内容 |
|---|---|
| タイトル・説明文の見直し | 「誰が」「どんな状況で」観る動画かを自然な言葉で明示し、プロンプトに一致しやすい表現を混ぜ込む |
| チャンネルテーマの一貫性確認 | 投稿ジャンルが分散している場合、シリーズ化・プレイリスト化でテーマの統一感を高める |
| 既存の流入経路の把握 | トピックチップ経由の流入割合が高いチャンネルは、今回の変更による影響を優先的に監視する |
| Studioの新指標の確認 | YouTube Studioでは分析画面の刷新も進んでおり、流入経路の変化を継続的に確認できる体制を整える |
| コミュニティ機能の活用 | アルゴリズム経由の露出に依存しない導線として、コミュニティ投稿や登録者への直接告知を強化する |
Studio側の分析機能についても、2026年7月に「Analytics」タブが「Insights」へ刷新されAIカードが追加されており(詳細はYouTube Studio「Insights」刷新に関する記事で解説した)、流入経路の変化を数値で追いやすい環境自体は整いつつある。今回のカスタムフィード拡張とあわせて、まずは自チャンネルの現状の流入内訳を確認することから始めたい。
FAQ
Q. カスタムフィードは日本でも使えますか。 A. 今回報じられた拡張は米国のサインイン済みユーザーが対象で、日本を含む他地域への展開時期は明言されていない。過去の拡張でも米国先行のパターンが続いているため、日本での提供は今後の発表を待つ必要がある。
Q. 最大8個の上限に達したらどうなりますか。 A. 報道では「非アクティブなプロンプトは数週間後に期限切れになる」とされており、古いフィードから自動的に整理される仕組みとみられる。ただし具体的な失効ルールの詳細までは一次情報で明言されていない。
Q. トピックチップは完全になくなるのですか。 A. 報じられているのは「モバイルアプリのホームフィード上部の標準トピックチップを置き換える」という内容で、モバイルアプリが中心となっている。デスクトップ版の扱いについては今回の報道では明確に触れられておらず、今後の展開を注視する必要がある。
Q. 企業アカウントは今すぐ何をすべきですか。 A. まずは自チャンネルへの流入経路のうち、おすすめ・トピックチップ経由の割合を確認し、動画タイトルや説明文に視聴シーンを想起させる語彙を含める見直しから着手するのが現実的だ。アルゴリズム任せの露出だけに依存しない導線(コミュニティ投稿、メンバー限定コンテンツなど)を並行して強化することも有効だ。
まとめ
YouTubeは2026年8月25日、カスタムフィードを最大8個まで同時管理できるよう拡張し、モバイルアプリの標準トピックチップを置き換えると発表した。2025年11月の1個限定の試験導入、2026年5月の対象拡大を経て、約9ヶ月でホーム画面の主要な構成要素へと格上げされた形だ。この変化は単なるUI刷新ではなく、YouTubeの発見体験が「アルゴリズムによる暗黙の推薦」から「ユーザー自身が言語化した明示的な指定」へと重心を移していることを示している。チャンネル運営者・企業アカウントの担当者にとっては、動画のタイトルや説明文をプロンプトに一致しやすい自然な言葉で整えること、そしてアルゴリズム経由の露出に偏らない複数の導線を持つことが、これまで以上に重要になってくる。関連する動きとして、YouTubeが2026年に投入してきたAI関連機能の全体像はYouTubeのAI新機能まとめ2026の記事でも整理しているので、あわせて確認しておきたい。
出典
- YouTube enables users to create multiple custom feeds - Social Media Today, 2026年8月25日
- As Bluesky adds more videos, YouTube adds more Bluesky-style custom feeds - Tubefilter, 2026年8月26日
- 「Your Custom Feed」で好みの動画がすぐ見つかる新機能をテスト中 - GetNavi web, 2025年11月28日
- YouTubeがAIでホーム画面をカスタマイズできる新機能をテスト - テクノエッジ, 2026年5月28日
- YouTube ホームでカスタム フィードを作成、管理する - YouTubeヘルプ, 参照日2026年8月28日
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