Bluesky、「バズりたくない」人のためのアルゴリズムオプトアウト機能を追加。仕組みと設定方法
Blueskyが、投稿を「Discover」フィードで非フォロワーに表示させない新しい設定を追加した。現地時間2026年8月27日(日本時間28日未明)、公式アカウント(@bsky.app)が発表し、TechCrunchをはじめ複数の海外メディアが「アルゴリズムオプトアウト」機能として報じている。バズりたい・拡散したいという前提でSNSの機能が語られがちな中、「フォロワーだけに向けて投稿したい」というニーズを正面から拾った珍しい設計だ。本記事では公式発表と一次報道をもとに、機能の仕組み・設定方法・企業アカウント運用者にとっての意味を整理する。
何が発表されたのか——公式アカウントの投稿を確認する
まず一次情報を確認しておきたい。Bluesky公式アカウント(@bsky.app)は2026年8月27日19時03分(UTC、日本時間28日4時03分)、次のように投稿している。
「Discoverフィードで、自分の投稿が非フォロワーに表示されないようオプトアウトできるようになった(you can now opt out of having your posts shown to non-followers in the Discover feed)」
続けて公式は「誰もがバイラルを望んでいるわけではなく、ただフォロワーに向けて投稿したいだけの人もいる」という趣旨の説明を添え、この機能を「ユーザーがより多くの制御権を持てるようにする一連のアップデートの一つ」と位置づけている。筆者が確認した時点で、この投稿には9,308件のいいね、336件の返信、3,292件のリポストが付いていた(数値は取得時点のスナップショットであり、今後変動する)。
この動きをTechCrunchが「Bluesky adds an ‘algorithmic opt-out’ feature for those who don’t want to go viral」(2026年8月27日付)の見出しで報じ、Yahoo Tech、iPhone in Canadaなど複数メディアも追随して取り上げている。日本語圏では、本稿執筆時点で専門的に解説した記事はまだ見当たらない。
仕組み——「非公開」ではなく「見つかりにくくする」設定
ここが最も誤解されやすいポイントなので、先に整理しておく。この機能は投稿を非公開(プライベート)にするものではない。オプトアウトを有効にしても、投稿は引き続き誰でも閲覧できる公開状態のままだ。変わるのは、Blueskyのアルゴリズム推薦フィードである「Discover」(ネットワーク上の任意の公開投稿を表示しうるおすすめフィード)に、非フォロワーへの露出候補として選ばれなくなる、という一点である。
つまり「鍵アカウントにする」「フォロワー限定公開にする」といった強い制限ではなく、「アルゴリズムによる偶発的な拡散だけを止める」という、公開範囲と拡散範囲を切り分けた設計になっている。フォロワーのタイムラインには従来どおり表示されるため、既存のコミュニケーションを損なわずに「知らない人にまでバズって広まる」リスクだけを下げられる点が特徴だ。
もう一つ興味深いのが、AT Protocol(Blueskyが採用する分散型プロトコル)のレベルでこの設定が記録される点である。Blueskyはこのプロトコルの上に構築された数あるアプリの一つに過ぎず、他のAT Proto対応アプリ(サードパーティ製クライアントやフィードサービスなど)からもこのフラグを参照できる。ただし、参照した上でオプトアウト設定を実際に尊重するかどうかは各アプリの実装次第とされており、Blueskyの公式アプリ以外でどこまで機能が及ぶかは、今後の各アプリの対応状況を見る必要がある。
図解:オプトアウト設定で変わる範囲と変わらない範囲
設定方法——プライバシーとセキュリティ設定から
設定手順は難しくない。報道によれば、Blueskyアプリの「設定(Settings)」内にある「プライバシーとセキュリティ(Privacy and Security)」の項目に新しいトグルが追加されており、これをオンにするだけでよい。設定変更が全体に反映されるまでは最大1時間ほどかかる可能性があるとされている点は覚えておきたい。即座に反映を確認しようとして「効いていない」と早合点しないよう注意が必要だ。
現時点で確認できている情報の範囲では、この設定はアカウント単位のオン・オフであり、投稿ごとに個別指定するような細かい制御には言及がない。つまり「この投稿だけバズらせたくない」という使い方ではなく、「アカウント全体として、フォロワー以外への拡散を基本的に望まない」という運用に向いた機能だ。投稿単位の細かい制御が今後追加されるかどうかは、現時点の公式発表からは読み取れない。
直近の機能強化との位置づけ——動画尺拡大の翌日という文脈
このアップデートは単独の出来事ではない。TechCrunchは2026年8月26日付で、Blueskyが動画のアップロード上限を最長10分・最大300MBまで拡大したと報じている(“Bluesky now lets you upload 10-minute long videos”)。つまり、動画尺の拡大という「TikTokやYouTube Shortsを意識した攻めの機能強化」の翌日に、真逆とも言える「バズりたくない人向けの守りの機能」を投入したことになる。
この順番には一貫性がある。Blueskyの新CEOであるトニー・シュナイダー氏は、The Vergeのポッドキャスト「Decoder」(2026年7月)で、Blueskyを「広告やアルゴリズムに依存しないSNS」と位置づけたと報じられている。エンゲージメント最大化を目的とした単一のアルゴリズムに全ユーザーを従わせるのではなく、機能面での選択肢を広げることでユーザー層の多様なニーズに応えようとしている、という読み方ができる。バズりたい人には尺の長い動画という表現の場を、バズりたくない人にはアルゴリズムからの離脱手段を、同じ週のうちに提供した形だ。
他の設定との違いを整理する
「ミュート」「ブロック」「鍵アカウント」など、SNSには他にも公開範囲や関係性を制御する機能がある。混同を避けるため、今回のオプトアウト機能がそれらと何が違うのかを表で整理する。
| 機能 | 投稿の公開範囲 | フォロワーへの表示 | 非フォロワーへの表示 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| アルゴリズムオプトアウト(今回) | 公開のまま | される | Discoverフィードには出ない | 意図しない拡散の抑制 |
| 鍵アカウント(非公開設定) | 承認したフォロワーのみ | される | されない(承認者以外は投稿自体を閲覧不可) | 投稿全体を限定公開にしたい場合 |
| ミュート/ブロック(相手側の操作) | 変わらない | 相手からは見えなくなる | 変わらない | 特定ユーザーとの関係を遮断したい場合 |
| フォロワー限定公開の投稿単位設定(一部SNSに存在) | 投稿ごとに限定可能 | される | されない | 特定の投稿だけを限定公開にしたい場合 |
こうして並べると、今回の機能は「公開範囲」と「アルゴリズムによる拡散範囲」を初めて明確に切り分けた点に独自性があるとわかる。多くのSNSでは、公開設定を絞る(鍵アカウント化する)以外に、アルゴリズム経由の非フォロワーへの露出だけを個別にコントロールする手段は一般的ではない。Blueskyがこの選択肢をアカウント単位とはいえ提供したこと自体が、今回の報道が注目された理由の一つだろう。
企業アカウント運用者にとっての意味——「バズりたい」側だからこそ考えたいこと
ここからは自社目線での実務的な考察に入りたい。企業のSNS運用は基本的に「バズりたい」「多くの人に見つけてほしい」側に立つことが多く、今回のオプトアウト機能を自社アカウントで使う場面は限定的だと考えられる。フォロワーの外への露出をわざわざ止める設定は、通常のブランド運用の目的とは逆方向に働くからだ。
とはいえ、企業アカウント運用者にとってこの機能が「無関係」というわけではない。少なくとも3つの活用シーンが考えられる。
1つ目は、投稿内容のテスト運用への応用だ。新しいクリエイティブやコピーの反応を見たいが、失敗したときに不特定多数の目に触れて炎上リスクを抱えたくない、という場面はある。オプトアウトをオンにした状態で試験的に投稿し、フォロワーの反応(いいね・返信の質)だけを見てから、問題なければオプトアウトを解除して通常運用に戻す、という段階的な公開の使い方ができる可能性がある。ただし前述のとおり投稿単位ではなくアカウント単位の設定である点には注意が必要で、運用中のアカウントで頻繁に切り替えるのは現実的ではないかもしれない。むしろテスト専用のサブアカウントで検証してから本アカウントに展開する、という使い分けの方が実務的だろう。
2つ目は、社内向け・限定コミュニティ向けの告知アカウントを別に持つ場合の選択肢としての価値だ。採用広報や社内イベントの告知など、「フォロワー(すでに関係がある人)には見てほしいが、無関係な層にまで拡散されると文脈を欠いた形で誤解される恐れがある」情報を扱うアカウントであれば、オプトアウトは理にかなった設定になる。
3つ目は、炎上時のリスクコントロールという観点だ。何らかの理由で特定の投稿が意図せず物議を醸しそうな兆候が見えた場合、投稿を削除するのではなく「これ以上の拡散だけを止める」選択肢が(投稿単位で使えるようになれば)理論上は存在しうる、という点は今後の機能拡張の方向性として注視しておきたい。現時点ではアカウント単位の設定にとどまるため、炎上鎮火の即効薬として使えるわけではないが、Blueskyがこの種の「拡散のブレーキ」に投資している事実自体は、プラットフォームのリスク管理機能の今後を占ううえで参考になる。
いずれの活用シーンも、Blueskyが現状「登録者数は増加する一方でアクティブ率はピーク比で半減している」という状況にあることを踏まえたうえで検討する必要がある。運用リソースを割く優先度としては、Xやほかの主要SNSと比べてまだ限定的だと考えるのが妥当だ。それでも、機能の設計思想(拡散を望まない人にも居場所を作る)自体は、企業の情報発信のあり方を考えるうえでもヒントになる。
FAQ
Q1. オプトアウトを設定すると投稿は非公開になりますか? A. いいえ。投稿は引き続き公開のままで、誰でも直接プロフィールを訪れれば閲覧できます。変わるのはDiscoverフィードを通じて非フォロワーにおすすめ表示されなくなる点だけです。
Q2. 設定はどこから行いますか? A. Blueskyアプリの設定内、「プライバシーとセキュリティ」の項目にトグルが追加されています。オンにしてから反映まで最大1時間ほどかかる可能性があります。
Q3. 投稿ごとに個別設定できますか? A. 現時点で確認できる範囲では、投稿ごとではなくアカウント単位のオン・オフです。特定の1投稿だけをオプトアウトさせる機能は、少なくとも今回の発表内容には含まれていません。
Q4. サードパーティ製のBlueskyクライアントでもこの設定は有効ですか? A. 設定自体はAT Protocolのレベルで記録されるため、他のAT Proto対応アプリからも参照可能です。ただし、その設定を実際のフィード表示に反映するかどうかは各アプリの実装次第とされています。
Q5. 企業アカウントでも使うべき機能ですか? A. 通常のブランド運用では優先度は高くありません。テスト投稿や社内・コミュニティ限定の告知アカウントなど、拡散よりも文脈の保持を重視する用途で検討の余地があります。
まとめ
Blueskyが2026年8月27日に追加した「アルゴリズムオプトアウト」機能は、投稿を非公開にすることなく、Discoverフィードを通じた非フォロワーへの拡散だけを止められる設定だ。設定は「プライバシーとセキュリティ」からアカウント単位でオンにでき、反映まで最大1時間かかる。前日に発表された動画尺の10分化という攻めの機能強化と対をなす形で、拡散を望まないユーザーの居場所を作る守りの機能として位置づけられている。企業アカウント運用の観点では通常運用での優先度は高くないものの、テスト投稿や限定告知用アカウントでの活用余地はあり、Blueskyの機能拡張の方向性を見るうえでも押さえておきたいアップデートだ。設定の投稿単位への拡張など、今後のアップデートにも注目したい。
Blueskyというプラットフォーム自体の現状や企業アカウント運用の是非については、Bluesky(ブルスカ)とは?2026年最新版|企業アカウント運用は「是」か「非」かで詳しく整理している。Blueskyの基本的な特徴を確認したい場合はポストTwitter?拡散型SNS「Bluesky」とはも参考にしてほしい。また、オプトイン・オプトアウトという考え方自体の基礎についてはメルマガ配信で欠かせないオプトイン・オプトアウトとはなにか?でも解説している。
出典
- Bluesky公式アカウント(@bsky.app)投稿、2026年8月27日19:03(UTC): https://bsky.app/profile/did:plc:z72i7hdynmk6r22z27h6tvur/post/3mu3jzayuys2k
- TechCrunch「Bluesky adds an ‘algorithmic opt-out’ feature for those who don’t want to go viral」2026年8月27日: https://techcrunch.com/2026/08/27/bluesky-adds-an-algorithmic-opt-out-feature-for-those-who-dont-want-to-go-viral/
- TechCrunch「Bluesky now lets you upload 10-minute long videos」2026年8月26日: https://techcrunch.com/2026/08/26/bluesky-now-lets-you-upload-10-minute-long-videos/
- iPhone in Canada「Bluesky Will Hide Your Posts From Discover If You Ask」2026年8月28日: https://www.iphoneincanada.ca/2026/08/28/bluesky-discover-opt-out/
- The Verge「Bluesky’s new CEO wants a big tent, not a bubble」2026年7月(Decoderポッドキャスト)
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