Google、広告データ管理基盤「Data Manager」を拡張(GA/DV360連携・Uplift指標)

misosil編集部

Googleが2026年9月10日、広告主のファーストパーティデータ活用を支える基盤「Data Manager」を拡張したと公式ブログで発表した。GoogleアナリティクスとDisplay & Video 360(DV360)への直接統合、拡張コンバージョンの精度向上、そして新しい指標「Data Strength Uplift」の追加が主な内容だ。もともと2023年10月に「Google広告データマネージャー」として登場したこのツールが、3年でどこまで対応範囲を広げたのかを、公式発表にもとづいて整理する。

Data Managerとは(おさらい)

Data Managerは、CRMやオフラインの購買データ、アプリ内データといった、広告主が自社で保有するファーストパーティデータを、Googleの広告・計測ツールへ接続するための基盤だ。2023年10月の初回発表時点では、Salesforceなど外部CRMやCDP(顧客データ基盤)との連携、Zapierを使ったノーコード連携などが主な機能だった。サードパーティCookieの規制強化が進むなか、広告主が自社データを軸に成果を計測し続けるための土台という位置づけで登場した経緯がある。

今回の拡張:GA・DV360への直接統合

Google公式ブログ「Drive profitable growth with new data and measurement tools」によると、今回の目玉はData ManagerをGoogleアナリティクスとDV360に直接組み込んだことだ。これにより、CRM・オフライン・アプリのデータを接続・活用できる場所が、Google広告だけでなくGAとDV360にも広がった。公式ブログでは、オフラインデータやアプリデータをData Manager経由で接続した広告主において「平均26%のインクリメンタルROAS向上」が見られたと報告されている。

あわせて、拡張コンバージョン(Enhanced Conversions)もGA・DV360で利用できるようになった。拡張コンバージョンは、顧客データを安全な形でマッチングし広告の関連性を高める仕組みで、公式ブログは「標準的なコンバージョンインポートと比較して、検索コンバージョンが平均11%増加した」という数値を示している。

拡張内容概要公表されている効果
GA・DV360への直接統合CRM・オフライン・アプリデータの接続先をGA/DV360に拡大平均26%のインクリメンタルROAS向上
拡張コンバージョンの拡大GA・DV360でも顧客データの安全なマッチングが可能に標準インポート比で検索コンバージョンが平均11%増加

新指標「Data Strength Uplift」とは

今回のアップデートでもう一つ注目したいのが、Google広告に追加された新指標「Data Strength Uplift」だ。公式ブログによると、この指標は「自社のファーストパーティデータ設定によって回収できている追加のコンバージョン数」を定量化するものだという。Googleタグゲートウェイを通じてデータ品質(データストレングス)を改善した広告主では、平均14%のコンバージョン増加が見られ、特にDemand Genキャンペーンでは20%を超える増加が確認されているとしている。

これまで「ファーストパーティデータを整備しましょう」という呼びかけは抽象的になりがちだったが、Data Strength Upliftによって、データ整備がどれだけの追加コンバージョンに直結しているかを、広告主自身のアカウント内の数値として確認できるようになった点が実務上のポイントだ。

Data Managerの拡張範囲とData Strength Upliftの関係を示した図解 GA・DV360への統合、拡張コンバージョン、Data Strength Upliftの3つがどう連動するかを整理した図

Data Manager APIの標準化と自動診断機能

技術面でのアップデートとしては、Data Manager APIが業界団体IAB Tech Labの「ECAPI(Event and Conversions API)」規格に準拠し、汎用化された点も見逃せない。公式ブログは「オーディエンスと計測データを、主要な広告プラットフォーム横断で接続・管理・活用するための、統一された安全な仕組みを提供する」と説明しており、複数の広告媒体ごとに別々の連携を組んでいた技術的な複雑さを軽減する狙いがある。

あわせて、データに問題がある場合に自動で検知・対処を支援する診断機能(Built-in Diagnostics)も追加された。キャンペーンの成果に影響が出る前にデータの不備を検出できるようにすることで、計測トラブルの早期発見につなげる仕組みだ。なお、地域を横断した因果的な効果検証を行う「Meridian GeoX」も、ベータ版から世界向けの一般提供へ移行している。

【独自視点】SNSマーケティング担当者にも関係がある理由

「Google広告の計測基盤の話」と聞くと、SNS運用担当者には遠い話に思えるかもしれないが、実際には2つの理由で無視できないテーマだ。

1. SNS広告の成果測定も「自社データの整備」が土台になる

TikTok・Instagram・X(Twitter)など各SNSプラットフォームも、Cookie規制やアプリのプライバシー制約が強まるなかで、広告主自身が持つファーストパーティデータ(会員データ・購買履歴・アプリ内行動データなど)を軸にした計測へと軸足を移している。Googleが「データストレングス」という指標で可視化を進めているように、どのプラットフォームで広告を運用するにせよ、自社データの整備状況が広告成果の土台になるという構図は共通している。計測の基本的な考え方は【用語解説】アトリビューションモデルとは何か?5つのモデルも詳しく解説でも解説しているので、あわせて確認しておくと理解が深まる。

2. 複数プラットフォームを横断した予算配分の判断材料になる

多くの企業は、Google広告とSNS広告を並行して運用している。Data Managerのように、自社データを軸にした計測精度の向上が数値として示されるようになると、「どのチャネルにどれだけ予算を配分すべきか」という横断的な判断がしやすくなる。逆に、計測精度がプラットフォームごとにバラつくと、正しく成果が見えている媒体に予算が偏ってしまうリスクもある。広告データの品質そのものが、SNS広告を含めた予算配分の公平な比較を左右する要素になっている点は、SNS運用担当者も知っておいて損はない。なお、計測データの信頼性を損なう要因としては、不正クリックによる数値の水増しである「アドフラウド」も無視できない。詳しくはネット広告詐欺「アドフラウド」とは?仕組みと対策方法を解説で解説している。

よくある質問

Q. Data Managerは無料で使えますか。

A. 公式ブログでは料金についての言及はなく、既存のGoogle広告・GA・DV360のアカウントに組み込まれる形の機能として案内されている。詳細な利用条件は各プロダクトの公式ヘルプで確認するのが確実だ。

Q. 「平均26%のROAS向上」「平均14%のコンバージョン増加」といった数値はどんな条件で計測されたものですか。

A. 公式ブログはこれらを自社の集計にもとづく実績として紹介しているが、対象期間や業種の内訳など詳細な計測条件までは公表されていない。自社での効果は個別の検証が必要だ。

Q. Data Manager APIのECAPI準拠とは何ですか。

A. IAB Tech Lab(広告業界の標準化団体)が定める「Event and Conversions API」という共通規格にGoogleのData Manager APIが準拠したことを指す。広告プラットフォームごとに個別のデータ連携を組む技術的な負担を減らす狙いがある。

Q. Meridian GeoXとは何ですか。

A. 地域(ジオ)単位の実験を通じて、広告施策と成果の因果関係を検証するツールだ。今回のアップデートでベータ版から世界向けの一般提供に移行した。

まとめ

  • Googleは2026年9月10日、ファーストパーティデータ活用基盤「Data Manager」を拡張し、GoogleアナリティクスとDV360に直接統合した
  • オフライン・アプリデータの接続で平均26%のインクリメンタルROAS向上、拡張コンバージョンの拡大で検索コンバージョンが平均11%増加という実績を公表
  • 新指標「Data Strength Uplift」により、ファーストパーティデータ整備がもたらす追加コンバージョンを可視化できるようになった
  • Data Manager APIはIAB Tech LabのECAPI規格に準拠し汎用化、自動診断機能やMeridian GeoXの一般提供化もあわせて実施
  • SNS運用担当者にとっても、自社データ整備の重要性プラットフォーム横断での予算配分判断という2つの観点で押さえておく価値がある

出典

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