LinkedIn「Advice Sessions」とは|有料・無料の1対1相談と広告収益分配テスト、クリエイター収益化の新機能を整理

misosil編集部

LinkedInは2026年10月15日(現地時間)、専門知識を収入に変えるための新機能を発表した。中心となるのは、プロフィールから無料または有料の1対1相談を提供できる「Advice Sessions(アドバイス・セッションズ)」と、クリエイターの動画に流れる広告の収益を分け合う仕組みのテストだ。LinkedIn公式のニュースページと、Social Media Todayの同日付の記事で内容が伝えられている。

現時点の提供範囲は米国が中心で、日本での提供時期は示されていない。そのため「今すぐ使える機能」ではないが、LinkedInが専門家個人の収益化と、ブランドによるクリエイター活用の両方を一度に進めたことは、B2Bのコミュニケーションを担う企業アカウントの運用者にとって見逃せない動きだ。本稿では、公式情報と報道で確かめられる範囲を整理し、企業の運用チームが備えられる点を示す。

発表の全体像

今回の発表に含まれる主な機能を、先に表で整理する。

機能内容現時点の提供状況
Advice Sessionsプロフィールから無料または有料の1対1相談を提供する米国の利用者が対象。ほかの市場は「近日中」に追加予定
広告収益の分配テストクリエイターの動画の前に流れる広告の収益の一部を、クリエイターが受け取る米国の一部のクリエイターと広告主を対象にしたテスト
Creator Marketplaceの検索フィルター広告主がオーディエンスの焦点、専門性、好みの形式などでクリエイターを絞り込む報道では詳細な提供時期の記載なし
コメントのピン留め投稿者が有益なコメントを固定表示できる2022年に一部で提供後に打ち切られた機能が復活
プロフィールのインサイト刷新成果と収益化の機会を示す報道では詳細の記載なし
プライベートメモつながりの詳細を自分用に記録できる報道では詳細の記載なし

Advice Sessionsとは

Advice Sessionsは、LinkedInのプロフィールを入口にして、1対1の相談(コンサルテーション)を提供できる機能だ。公式のニュースページでは、予約の管理、支払いの確保、ビデオ通話による相談を1か所で行えると説明されている。見出しには、知識を収入に変えるという趣旨の文言が掲げられている。

提供できる人

対象となる利用者の条件は、情報源によって表現が異なる。LinkedIn公式のニュースページでは、米国のBusiness Premium加入者が対象と書かれている。一方、Social Media Todayは、Premium加入者であることに加え、プロフィールの認証(verification)が必須だと伝えている。同記事には、認証を要件にする理由を、LinkedInの製品責任者が「会員が誰とつながり、誰から学ぶのかをより確信できるようにするため」と説明したとの記述がある。

つまり、現時点で確実に言えるのは、有料会員であることと、米国が対象市場であることの2点だ。認証の要否は、提供が広がった時点で、公式のヘルプで確かめる必要がある。

無料と有料を選べる

相談は無料でも有料でも提供できる。有料にする場合、料金はLinkedIn上で、安全な決済を通じて直接請求される。1回あたりの料金の設定範囲や、LinkedInが受け取る手数料については、報道にも公式のページにも具体的な記載がない。

これから追加される予定の機能

カテゴリ別に専門家を探せる「エキスパート紹介ページ」を追加する予定だと報じられている。ここに掲載されれば、フォロワーでなくても、相談相手を探している人に見つけてもらえる可能性がある。ただし、掲載の条件や並び順の仕組みは、示されていない。

提供地域

現在は米国が対象で、ほかの市場は近日中に追加されると案内されている。日本が含まれるかどうか、いつ頃になるのかは、公式には示されていない。

LinkedInのAdvice Sessionsの流れ(プロフィールから予約、支払い、ビデオ通話)と、広告収益分配テストの仕組みを並べて整理した図解 専門家が相談で収益を得る道と、動画の広告で収益を得る道。どちらも現時点では米国中心

広告収益の分配テスト

もうひとつの柱が、クリエイターのコンテンツに表示される広告の収益を、クリエイターに分配する仕組みのテストだ。

仕組み

公式のニュースページでは、この機能は「In-Stream Ads」と呼ばれている。対象のクリエイターがダッシュボードから参加を申し込み、対象の動画の前にプリロール広告が配信されると、収益を得られる。テストの対象は、米国の一部のクリエイターと広告主に限られる。

Social Media Todayによれば、広告主にとっての新しさは、クリエイターとの事前の提携契約がなくても、話題が関連するクリエイターの動画の近くに広告を置けることだ。LinkedInには、すでにクリエイターの動画へのプリロール広告を配信できる「BrandLink」や、社員や専門家の投稿を広告として増幅する「Thought Leader Ads」がある。今回のテストは、これらに近い仕組みだが、事前の提携が不要な点が違うと説明されている。

分かっていないこと

収益の分配率や、金額の算出方法は、どちらの情報源にも記載がない。今後、より広い層への提供が計画されているとされるが、時期は示されていない。

なぜLinkedInは収益化を進めるのか

LinkedInが専門家個人の収益化に力を入れる背景は、公式の発表から推し量ることができる。公式の文言は、これらの機能を、オーディエンスを築き、専門知識を機会と収入に変えるための新しい手段だと位置づけている。

B2Bの購買では、製品の説明よりも、実務経験のある専門家の意見が重視されやすい。専門家が収益を得られる仕組みを整えれば、質の高い発信者がLinkedInに留まる動機が強まる。同じ時期に、LinkedInはブランドがクリエイターを探すための機能も整えている。企業側の「探す」道具については、LinkedIn、ブランド向け「クリエイター発見」機能をベータ導入 B2Bキャンペーンの調達を効率化で整理した。専門家が稼ぐ道と、企業が専門家を活用する道が、同時に整備されていることが分かる。

また、認証の重視は、今回に限った動きではない。職歴の信頼性を高める取り組みは、LinkedIn、元同僚が職歴を証言する「Vouch」機能と虚偽従業員の削除機能を追加にまとめている。Advice Sessionsで有料の相談を成り立たせるには、相談相手の素性への信頼が欠かせないため、認証と収益化は一続きの流れとして見ることができる。

【企業アカウント運用者向け】今から備えられること

日本での提供が示されていない段階でも、運用チームが考えておけることはある。以下は公開情報から考えられる整理であり、LinkedInの推奨ではない。

1. 社内の専門家が「相談を売る側」になる可能性を想定する

Advice Sessionsは、個人のプロフィールから提供する機能だ。自社の役員や専門職の社員が、個人として有料の相談を始めることも起こりうる。そのとき、企業としては次のような点を決めておく必要がある。

  • 社員が個人の立場で報酬を得る活動を、就業規則や副業のルールでどう扱うか
  • 相談の中で、社内の情報や顧客の情報が話題に出ないようにする注意事項
  • 自社の肩書きを使って相談を提供する場合の、表示のルール

機能が日本で使えるようになってから慌てて決めるより、先に方針を文書にしておくほうが、運用が安定する。

2. 無料の相談を「見込み客との接点」として設計する

Advice Sessionsは、無料で提供することもできる。企業の専門家が、短い無料相談を提供すれば、見込み客との最初の接点になりうる。その際、相談の入口を宣伝の場にしてしまうと、相談を受ける側の信頼を損なう。相談の目的を「課題の整理」に絞り、商談への誘導は相手が望んだときだけにする、といった線引きを先に決めておきたい。

3. プロフィールの整備と認証を進める

提供の条件には、有料会員であることや、認証が含まれる可能性がある。個人のプロフィールの職歴、専門分野、実績が最新であるかを点検し、認証を済ませておく。これは、Advice Sessionsに限らず、クリエイターの検索や、Top Voicesのような認定を目指すときにも役立つ。

4. 広告収益分配に、ブランドとしてどう関わるかを考える

広告主の立場では、事前の提携なしに、関連するクリエイターの動画の近くへ広告を置ける可能性が生まれる。ブランドの価値観と合わない内容の近くに広告が出ないよう、ブランドセーフティの設定を確認する体制が要る。逆に、自社の専門家がクリエイターとして動画を出す場合は、広告収益が個人に入るのか、会社に入るのかを、社内で決めておく必要がある。

5. 効果を測る数字を決めておく

新しい機能を試すときは、見る数字を先に決める。相談や動画の成果を測る指標の設計は、SNSのKPI設計|媒体別の指標一覧とレポートの作り方が参考になる。たとえば、次のような数字が候補になる。

目的見る数字
相談を接点に使う相談の件数、相談から問い合わせに進んだ割合
専門家の知名度を上げるプロフィールの閲覧数、フォロワーの増加
動画で発信する動画の視聴数、最後まで見られた割合
広告を併用する表示回数、クリック率、問い合わせ数

日本の企業にとっての見通し

日本での提供時期が示されていないため、現時点で大きな準備を急ぐ必要はない。一方で、LinkedInが米国で先行して機能を展開し、その後に他の市場へ広げる流れは、これまでにも見られた。展開が始まったときに、社内の方針とプロフィールの整備が済んでいれば、すぐに試せる。

また、日本では、LinkedInの利用者層や使われ方が、他のSNSとは異なる。採用や法人営業の場面で使う企業が多い中で、専門家の1対1相談という形式が受け入れられるかどうかは、実際の提供が始まってから、利用者の反応を見て判断することになる。

現時点で分かっていないこと

公式のページと報道を確かめた範囲で、次の点は示されていない。

  • 日本を含む米国以外の市場への提供時期
  • Advice Sessionsの料金の設定範囲と、LinkedInの手数料
  • プロフィールの認証が必須かどうか(情報源により表現が異なる)
  • 広告収益の分配率と、金額の算出方法
  • 広告収益分配テストの、参加の条件
  • エキスパート紹介ページの掲載条件

よくある質問

Advice Sessionsは日本のアカウントで使えるのか

現在は米国の利用者が対象で、ほかの市場は近日中に追加されると案内されている。日本での提供時期は、公式には示されていない。

無料会員でも相談を提供できるのか

公式のニュースページでは、Business Premium加入者が対象と書かれており、Social Media TodayもPremium加入者が対象と伝えている。無料会員が対象になる記載は確認できない。

相談の料金はいくらに設定できるのか

料金の設定範囲や、LinkedInが受け取る手数料は、公式のページにも報道にも書かれていない。提供が始まった時点で、公式のヘルプを確かめる必要がある。

広告収益の分配は誰でも受け取れるのか

現時点は、米国の一部のクリエイターと広告主を対象にしたテストだ。参加の条件や分配率は示されておらず、誰でも受け取れる状態ではない。

企業の公式ページでも使えるのか

Advice Sessionsは、個人のプロフィールから提供する機能として紹介されている。企業ページから提供できるという記載は確認できない。

まとめ

  • LinkedInは2026年10月15日、専門知識を収入に変えるための機能として、Advice Sessions(無料・有料の1対1相談)と広告収益分配のテストを発表した
  • Advice Sessionsは、予約、支払い、ビデオ通話を1か所で行える。対象は米国のBusiness Premium加入者で、他の市場は「近日中」。認証の要否は情報源により表現が異なる
  • 広告収益の分配は、米国の一部のクリエイターと広告主を対象にしたテストで、分配率は示されていない
  • 日本での提供時期は示されていない。企業は、社員の副業ルール、無料相談の設計、プロフィールの整備と認証、ブランドセーフティの確認を先に文書化しておくと、提供開始時に動きやすい

出典

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