Snapchatがチャットを曲に変えるAI機能を追加、Lens+会員向けに写真補正・リミックスも
Snapchatがチャットメッセージを曲にする新AI機能を追加。Lens+会員向けのAI Photoshoot・AI Remixも解説し、日本の企業担当者が知るべき視点を紹介。
Snapchatが2026年9月21日(現地時間)、友人とのチャットメッセージをAIが楽曲化する新機能をはじめ、複数のAI機能を追加したと発表した。発表元は米Snap社の公式ニュースルームで、Social Media Todayなど複数の海外メディアが同日〜翌22日にかけて報じている。目玉は「Chat to Song」と呼ばれる機能で、チャット画面のメッセージを長押しし、ジャンルを選ぶだけでAIがそのやり取りを曲に変換するというものだ。TikTokなど短尺動画プラットフォームで流行した「会話をAI音楽にする」トレンドを、Snapchat自身のチャット機能に組み込んだ形になる。
このニュースは日本語メディアではまだほとんど報じられておらず、後述の通り編集部が確認できた範囲では日本語の速報記事は見当たらなかった。しかし「メッセージがそのままコンテンツ化する」という発想は、Z世代・アルファ世代のコミュニケーション設計を考えるうえで無視できない動きだ。本記事では一次情報を基に機能の仕組みと利用条件を整理し、日本の企業アカウント運用者がこの動きから何を読み取るべきかを解説する。
Snapchatが追加した5つの新AI機能
Snap社の公式発表と、これを報じたSocial Media Today、Music Ally、Digital Music Newsなどの記事を突き合わせると、今回追加されたのは主に次の5つの機能だ。いずれもLens+という上位サブスクリプション会員向けの機能として提供される。
| 機能名 | 何をする機能か | 操作の起点 |
|---|---|---|
| Chat to Song(曲生成) | チャットメッセージを選択し、ジャンルを選ぶとAIがそのメッセージを楽曲化する。アルバムアートも自動生成され、プレビュー後にチャット内で共有できる | チャット画面でメッセージを長押し |
| AI Photoshoot | まばたき・変な表情・悪い照明など「惜しい写真」をAIが自動補正し、撮り直しなしで見栄えを改善する | 撮影済み写真の編集メニュー |
| AI Remix | 友人から届いたSnap(写真・動画)を、元の被写体を保ったまま全く別のシチュエーションやスタイルに再構成する | 受信したSnapの編集メニュー |
| ステッカーリミックス | 保存済み・受信済みのステッカーを新しいアートスタイルに変換する | ステッカー選択画面 |
| AI強化フォント | キャプションの文字を、バブルレターやファジーテクスチャ、スプレーペイント風などのデザインに変換する | キャプション入力時のフォント選択 |
Snapchatのヘルプセンターの説明によれば、Chat to Songの具体的な操作手順は「チャットを開く→メッセージを長押し→曲生成メニューを選択→ジャンルを選ぶ→アルバムアートを選択してプレビュー→送信」という流れだ。生成に失敗するケースとして、セーフティチェックに引っかかった場合や、通信エラー、1日あたりの生成回数の上限に達した場合などが挙げられている。なお同ヘルプページには「Chat to Songはテスト中の機能であり、すべてのチャットやすべてのアカウントで使えるとは限らない」との注記があり、全面展開が済んだ機能ではないことが分かる。
Snapchatが追加した5つのAI機能とLens+の関係を整理した図
Lens+とは何か、Snapchat+との違いと料金
今回の新機能はすべて「Lens+」というサブスクリプションプランの会員向けに提供される。Snap社のニュースルーム記事では、Lens+は「Snapchat+内の一段上のティア(tier within Snapchat+)」と説明されており、既存の有料プランSnapchat+にAR機能・Lens(カメラエフェクト)へのアクセス拡大を上乗せした位置づけだ。Snapchat+自体は2022年に始まった既存のサブスクリプションで、Snap社の公式発表では「2500万人の会員」を抱えるとされている。
Lens+の料金については、今回のAI機能追加を報じた一次情報の記事には具体的な金額の記載がなかった。ただし、米Engadgetや米Yahoo Financeなど複数のメディアが、Lens+が月額8.99ドル(約9ドル)のプランとして始まったと報じている。これは今回の新AI機能そのものの発表とは別の記事による報道であるため、本記事では「Lens+は月額9ドル程度と報じられている」という表現にとどめ、現在の正確な料金や日本での提供有無・価格は確認できていない点を明記しておく。
提供状況・対象国・著作権については断定できない
今回のニュースで特に注意したいのは、「いつ」「どこで」使えるようになるのかが一次情報から明確に読み取れない点だ。Snap社のニュースルーム記事、Social Media Todayの記事のいずれにも、具体的な提供開始日や対象国の記載は見当たらなかった。Snapchatヘルプセンターの説明で分かるのは「テスト中の機能であり、全アカウント・全チャットで使えるわけではない」ということだけで、日本のアカウントで利用できるかどうかは本記事執筆時点では確認できていない。
著作権や音楽業界との関係についても同様だ。Digital Music Newsの記事は、Snap社がユニバーサルミュージックグループ(UMG)、ソニー・ミュージック、ワーナー・ミュージック・グループ、ワーナー・チャペル、Kobalt、BMG、MERLIN、NMPA、DistroKidといった音楽業界の主要プレーヤーと既に提携関係を持っていると指摘する一方、「今回のChat to Song機能がこれらの提携の上に成り立っているのかどうかは明らかにされていない」としている。つまり、生成される楽曲が既存楽曲を学習・参照しているのか、権利処理はどうなっているのかといった技術的・法的な詳細は、現時点の報道からは判断できない。この点は断定を避け、今後の公式発表や利用規約の更新を待つ必要がある。
日本のSNS担当者がSnapchatのAI機能を無視できない理由
Snapchatは日本国内での主要ユーザー層が10代後半〜20代前半の一部に限られており、企業のSNS運用担当者の間では「自社には関係が薄い媒体」と見なされがちだ。実際、今回のニュースについて編集部が複数の検索語(英語・日本語)でWeb検索を行った範囲では、この「Chat to Song」を含む一連のAI機能追加を報じた日本語記事は見つからなかった。中国語圏では新浪科技(新浪網)や鳳凰網科技といった大手メディアがすでに報じているのに対し、日本語圏では速報段階にとどまっているのが現状だ。
それでもこの機能は、企業アカウント担当者が押さえておく価値がある。理由は3つある。
1つ目は、「会話そのものをコンテンツにする」という発想が、Snapchatに限らず若年層コミュニケーションの主流トレンドになりつつある点だ。TikTokのコメント欄をボイスに変換する機能や、LINEのトークをスタンプ化するような動きと同様に、「送ったメッセージが一次創作物になる」体験は、Z世代・アルファ世代が友人間のやり取りに求める「ちょっとした面白さ」の水準を引き上げる。企業アカウントが若年層向けにキャンペーンを設計する際、テキストDMや診断コンテンツのような「一方向の情報発信」だけでは物足りなく見える可能性がある。
2つ目は、機能の波及可能性だ。SnapchatはARレンズやカメラ起点のAI機能をいち早く実装し、後にInstagramやTikTokが類似機能を追いかける、という順番がこれまでも繰り返されてきた。Snap社は別途、AR体験専用デバイス「Specs」の展開も進めており、カメラ・チャット起点のAI体験に継続投資していることがうかがえる。この文脈はSnap、ARグラス「Specs」を発売|2,195ドルの価格と日本未展開の現状を解説でも扱った通りだ。「チャットが曲になる」という体験が他媒体に波及した場合、真っ先に反応するのはSnapchatを主戦場とする10代ではなく、それを見て「うちのLINE公式アカウントでもできないか」と考える企業側になるかもしれない。早期に仕組みを理解しておくことは、後追いで類似機能が他媒体に実装された際の企画スピードに直結する。
3つ目は、KPI設計上の示唆だ。チャットやDMを起点にした生成AI機能は、フォロワー数やインプレッションのような従来型の指標では効果を測りにくい。「何人が曲を生成したか」「生成した曲が何回共有されたか」といった、コンテンツ生成そのものをアクション化する新しい種類のエンゲージメント指標が今後必要になる可能性がある。媒体ごとのKPI設計の考え方はSNSのKPI設計|媒体別の指標一覧とレポートの作り方で整理しているが、Snapchatのような生成AI機能主導の媒体では、既存のKPI体系をそのまま当てはめるのではなく、機能の使われ方に応じた指標を都度検討する姿勢が求められる。
こうした「まだ日本で主流ではない媒体の新機能」を早めに押さえておく発想は、企業の公式アカウント運用においてThreadsとは?使い方・企業アカウントの始め方と2026年の活用ポイントのような、新興・伸長中の媒体をいち早く調査する動きとも重なる。Snapchatの利用者数自体が日本で急拡大する可能性は高くないが、そこで検証された生成AI体験の設計思想が、より主流の媒体に輸入される流れは十分に起こりうる。
よくある質問
Q1. Chat to Songは無料で使えますか。 いいえ。今回追加された5つの新AI機能(Chat to Song、AI Photoshoot、AI Remix、ステッカーリミックス、AI強化フォント)はいずれもLens+という有料サブスクリプションの会員向け機能として提供されている。無料のSnapchatアカウントや、既存のSnapchat+会員だけでは利用できない可能性が高い。
Q2. 日本のアカウントでもすぐに使えますか。 確認できていない。Snap社の発表やSnapchatヘルプセンターの説明には対象国の明記がなく、ヘルプセンターには「テスト中のためすべてのアカウント・チャットで使えるわけではない」との注記がある。日本での提供時期・可否は本記事執筆時点(2026年9月22日)では不明であり、今後の公式発表を確認する必要がある。
Q3. 生成された曲は著作権的に問題ないのでしょうか。 この点も現時点の報道からは断定できない。Snap社は主要な音楽レーベルやパブリッシャーと提携関係を持つが、今回のChat to Song機能がその提携の上に構築されているかどうかは公表されていない。生成音源の権利処理の詳細は、Snap社の利用規約やヘルプセンターの更新を待って確認する必要がある。
Q4. Lens+とSnapchat+は何が違うのですか。 Snap社の説明によれば、Lens+はSnapchat+という既存の有料プランの上位ティアという位置づけで、Snapchat+の機能に加えてAR体験(Lens)へのアクセス拡大が特徴とされる。今回の新AI機能一式はこのLens+会員向けに提供されており、Snapchat+のみの会員がそのまま利用できるとは公式発表からは読み取れない。なお、Lens+の料金については一次情報に記載がなく、他メディアの報道(月額8.99ドル程度)を参考情報として扱っている。
まとめ
Snapchatが発表した「Chat to Song」をはじめとする一連のAI機能は、チャットメッセージや写真といった日常的なやり取りそのものを、ワンタップでコンテンツ化する方向性を示している。料金・対象国・著作権処理など未確認の要素は多く残るが、「会話が作品になる」という体験設計は、Snapchatに限らず若年層向けコミュニケーション施策を考えるうえでの先行事例として見ておく価値がある。日本語での報道がまだ少ない今の段階で仕組みを理解しておくことは、同種の機能が他の主流媒体に波及した際の対応スピードにつながるはずだ。
出典
- Snapchat adds new AI features including chat-to-song - Social Media Today
- Turn Chats Into Songs, Enhance Snaps, Remix Stickers and more with new Features in Lens+ - Snap Newsroom
- How do I generate a song from a Chat message? - Snapchat Support
- Snapchat Now Lets You Turn Chats Into Songs with AI - Digital Music News
- Snapchat has a new GenAI-powered ‘Chat to Song’ feature - Music Ally
- Snapchat adds a new subscription tier for Lenses - Engadget
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