Pinterest、Magnite経由で広告枠を買える「Programmatic Deals」を発表|日本の広告主が押さえる点

misosil編集部

Pinterestが、広告枠をプログラマティック(機械的な取引)で買えるようにする「Programmatic Deals」を発表した。2026年10月26日付のMarketing Diveやppc.landの報道によると、ディスプレイと動画の広告枠を、広告主が普段使っているDSP経由で購入できる。対象地域は北米、南米、アジア太平洋だ。

これまでPinterestの広告は、主にPinterest自身の管理画面(Ads Manager)から出稿する形が中心だった。今回の仕組みは、Pinterestの外にある買い付けの経路を開くものだ。日本の広告主にとって気になるのは、「アジア太平洋に日本は入るのか」「うちの広告会社のDSPで買えるのか」という点だろう。

結論から言えば、日本が対象に含まれるかどうかは、報道の時点で示されていない。ただし、この仕組みがどう動くのかを理解しておけば、提供が日本に広がったときに慌てずに済む。この記事では、報じられている内容と、まだ公表されていない条件、広告主が事前に確認しておきたい点を整理する。

Programmatic Dealsの概要

報道から読み取れる内容を表にまとめる。

項目報じられている内容
発表日2026年10月26日
提供形態ディスプレイ・動画の広告枠を、SSPとDSPを通じて購入する
対象地域北米、南米、アジア太平洋(欧州は対象外)
供給側(SSP)Magniteが主要パートナー。中南米とアジア太平洋ではGoogle Ad Managerも供給側として協業
買い付け側(DSP)Amazon Ads DVA+、Google Display & Video 360、Yahoo DSPなど
利用方法セルフサーブではなく、広告主がPinterestの営業担当に問い合わせる形式(ppc.land)
日本での提供国別の一覧が公開されておらず、日本が含まれるかは示されていない

ここで出てくる用語を簡単に整理しておく。SSPは、媒体社が広告枠を売り出すための仕組みだ。DSPは、広告主や広告会社が、複数の媒体の広告枠を一括で買い付けるための仕組みを指す。今回は、Pinterestの広告枠をMagniteなどのSSPが取りまとめ、広告主が使うDSPから購入できるようにした、という構図になる。

もう一つ押さえておきたいのが「Deals」という言葉の意味だ。オープンな入札に参加するのではなく、媒体社と広告主の間で条件を決めた取引の枠組みを使って買う方式を、一般にディールと呼ぶ。ただし、Pinterestは買い方の種類(優先取引か保証型か)、価格、最低出稿額を公表していない。ディールの具体的な中身は、営業担当との相談で決まるものと考えられる。

対応DSPとMagniteの役割

Marketing Diveによれば、Pinterestの在庫はMagniteを主要な供給側パートナーとして流通する。買い付け側のDSPとして挙がっているのは、Amazon Ads DVA+、Google Display & Video 360(DV360)、Yahoo DSPだ。ppc.landによると、ニュースルーム版の発表にはDeepIntentも記載されているが、報道向けのメールでは前の3つのみだった。いずれも「including(含む)」の表現で、網羅的な一覧とは示されていない。

Magniteの担当者は、Pinterestの意図シグナルを、オープンウェブ上の他の在庫にも広げられると述べたと伝えられている。ただし、その仕組みや、どのデータが共有されるのか、同意の条件がどうなるのかは説明されていない。広告主にとっては、自社のデータポリシーと照らして確認すべき部分だ。

また、PinterestのインベントリはMagnite Orchestrationにも含まれるという。これは2026年6月に発表された調整レイヤーで、AIを活用し、買い手が自社のAIエージェントをMagniteの販売者側のエージェントに接続できる仕組みとされる。プログラマティックの取引が、人手による設定からAI同士のやり取りに移りつつあることを示す動きだが、日本の一般的な広告主が直接関わる段階にはまだない。

「Pinterest広告」との違い

これまでの運用と、今回の仕組みの違いを整理する。

観点Ads Managerでの出稿Programmatic Deals
買い付けの場所Pinterestの管理画面広告主・代理店のDSP
取引の形管理画面での入札・予算設定ディール(取引条件)を通じた購入
運用担当自社または代理店の運用担当者プログラマティックの担当者
計測・レポートPinterestのレポートDSP側のレポートが中心になると考えられる
利用のしやすさ管理画面から自分で出稿できる営業担当への問い合わせが必要

ここで見落としやすいのは、広告の運用チームが分かれる可能性があるという点だ。Pinterestの広告を、これまでSNS広告の担当者が運用していた企業では、Programmatic Dealsはディスプレイ広告やDSPを扱う別の担当者の領域になる。最適化の考え方も異なる。前者はPinterestのAIによる最適化を前提にし、後者はDSPの配信設計の中でPinterestの枠を組み込む形になる。

Ads Managerの最近の動きについては、Pinterest、広告キャンペーン目標「コンバージョン」「カタログ販売」を整理し新名称3種類に統合や、Pinterest、広告設定をAIが採点する「最適化スコア」をAds Managerに導入で整理している。これらはAds Manager内の変更であり、今回のProgrammatic Dealsとは入口が違う。同じPinterestの広告でも、どの経路で出すかによって、使える機能や数字の見え方が変わる点には注意したい。

Pinterest Programmatic Dealsについて、Pinterestの広告枠がMagniteなどのSSPを経由し、広告主のDSPから購入されるまでの流れを示した図解 Pinterestの広告枠は、SSPを通じて広告主のDSPに届く

報じられている事例とその読み方

Marketing Diveは、美容ブランドMoroccanoilの事例を紹介している。2026年6月のキャンペーンで、Magnite経由とAmazon Ads経由のディールを使い、既存のキャンペーンにPinterestを加えたという。

  • インクリメンタルリーチ(追加で届いた人数)が15%向上
  • オーディエンスの重複はわずか1%
  • 購入経路にPinterestを含む消費者で、新規のブランド購入者が63%増加
  • クリック率は、同ブランドの平均的な動画・ディスプレイのキャンペーンより20%高い

数字だけを見ると魅力的だが、読み方には注意が要る。ppc.landによれば、これらはAmazonの社内データで、期間は2026年6月1日から30日までの1か月だ。新規購入者が63%増えたという数字は、比較の基準となる値が公表されていない。クリック率の20%増も、キャンペーン全体の数字とされる。

つまり、この事例は「Pinterestを既存の出稿に足すと、他の媒体と重ならないリーチが得られる可能性がある」ことを示す材料にはなるが、自社でも同じ結果が出る保証にはならない。業種、商材、クリエイティブ、対象国が違えば、結果も変わる。事例の数字は、営業担当と相談するときの出発点として扱うのがよい。

日本の広告主が押さえるべき3つの論点

ここからは、日本の企業アカウントや広告の担当者の視点で、現時点で考えられる論点を挙げる。以下は報道された内容からの推測を含むため、実際の条件は提供後に確認する必要がある。

1. 日本が対象に含まれるか

対象地域は「アジア太平洋」と報じられているが、国別の一覧は公開されていない。アジア太平洋に含まれるからといって、日本で今すぐ使えるとは限らない。Pinterestの機能は、地域によって提供時期が分かれることが多い。日本向けの案内が出るまでは、使える前提で計画を立てないほうがよい。

2. 使っているDSPが対応しているか

対応DSPとして挙がっているAmazon Ads DVA+、DV360、Yahoo DSPは、いずれも米国発の名称だ。日本の広告会社が使っているDSPが同じものかどうかは、広告会社ごとに異なる。特にYahoo DSPは、日本で提供されているヤフー関連の広告配信サービスと同一なのか、報道では説明されていない。名前が同じでも、日本の環境で使えるとは限らない。広告会社には、「どのDSPで、日本のアカウントからPinterestのディールを利用できるか」を直接聞くのが確実だ。

なお、Amazon Ads DVA+は、2026年9月29日に米国でクローズドベータに入った、キャンペーン作成のツールだとppc.landは伝えている。新しいツールのため、日本での利用可否も別に確認が必要だ。

3. 計測と重複排除をどう設計するか

DSPで買い付ける場合、レポートはDSP側で見ることが中心になる。Pinterest広告をAds Managerでも出稿している場合、同じ人に両方の経路で広告が届き、成果が二重にカウントされる恐れがある。コンバージョンの計測方法、重複の排除、アトリビューションの考え方は、Pinterestの公式情報では示されていない。

プログラマティック広告の担当者がいる企業では、次のような点を、導入前に社内で決めておくと動きやすい。

  • 成果の最終的な判定は、どの計測ツールの数字を基準にするか
  • Ads Managerの出稿と、DSP経由の出稿を、同じ期間に走らせるかどうか
  • 広告の頻度(同じ人に何回見せるか)を、経路をまたいでどう管理するか
  • ブランドセーフティの基準を、DSP側でどう設定するか

営業担当や広告会社に確認したい質問リスト

提供が日本に広がった場合に備えて、問い合わせるときの質問を整理しておく。報道で公表されていない項目が中心だ。

確認項目質問の例
提供国日本の広告主アカウントで利用できるか。開始の時期はいつか
取引の種類優先取引か保証型か。どの種類のディールが選べるか
価格・最低出稿額最低出稿額やフロア価格はあるか
フォーマットディスプレイ・動画のどの掲載面とサイズに対応するか
対応DSP日本の広告会社が使っているDSPで買えるか
計測コンバージョンの計測はどの方法に対応するか
データ意図シグナルなど、共有されるデータの内容と同意の扱いはどうなるか
手数料取引に関わる手数料の構造はどうなるか

この一覧は、広告会社との打ち合わせでそのまま使える。提供の開始時期が見えてきた段階で、早めに共有しておくとよい。

Pinterestの規模と、今回の動きの位置づけ

Pinterestは、2026年第2四半期の月間アクティブユーザー数が6億4,000万人、月間の検索が800億回を超え、その半分以上が商業目的だと説明している(ppc.landの報道)。同期の売上は11億8,000万ドルで、前年比18%の増加とされる。

Marketing Diveは、調査会社Madison and Wallの予測として、2026年のオープンインターネット広告の収益に占めるプログラマティック取引の割合が74%に達すると伝えている。広告の買い方の主流がプログラマティックである以上、Pinterestがその経路に在庫を出すのは自然な流れだ。同社は2026年2月にCTV広告プラットフォームのtvScientificの買収を完了しており、買収先のCEOがプログラマティックとアフィリエイト部門のゼネラルマネージャーに就いたと伝えられている。

月間の検索の半分以上が商業目的だという説明からは、購買意図の強い層に届く媒体として、他の媒体と組み合わせて使う道を広げたいという狙いがうかがえる。

クリエイターと広告の関係でも、Pinterestは動きを見せている。Pinterestで提携なしにクリエイターのPinを広告化できる新機能とは?企業が押さえる運用と配慮で扱った機能も、Pinterest上の素材をどう広告に使うかという問題だ。ただし、これらはAds Managerを中心にした仕組みで、Programmatic Dealsとは別の話として分けて考えるのが安全だ。

よくある質問

Programmatic Dealsは日本でも使えるのか

現時点では、日本が対象に含まれるかどうかは示されていない。対象地域は北米、南米、アジア太平洋と報じられているが、国別の一覧は公開されていない。

自分で申し込んで使えるのか

ppc.landによると、セルフサーブではなく、広告主がPinterestの営業担当に問い合わせる形式だ。広告会社を通じて相談するのが現実的だ。

Ads Managerでの出稿をやめて、こちらに移るべきか

そう考える必要はない。両者は買い付けの経路が違い、運用の仕方も異なる。Ads ManagerにはPinterest独自の最適化の仕組みがあり、今回の仕組みは他の媒体と組み合わせて使う場面を想定したものだ。どちらが向くかは、広告の目的と運用体制による。

費用はどのくらいかかるのか

価格や最低出稿額は公表されていない。営業担当との相談で決まる。

事例の数字は信用してよいのか

事例の数字は、Amazonの社内データによる1か月の結果とされる。比較の基準値が公表されていない項目もあるため、自社で同じ結果になる保証とは受け取らず、検討の材料にとどめたい。

まとめ

  • Pinterestは2026年10月26日、ディスプレイ・動画の広告枠をDSP経由で買える「Programmatic Deals」を、北米・南米・アジア太平洋で開始した
  • 供給側はMagniteが中心で、買い付け側にはAmazon Ads DVA+、DV360、Yahoo DSPなどが挙がっている。利用はPinterestの営業担当への問い合わせが前提だ
  • 日本が対象に含まれるか、価格・最低出稿額・計測方法などは公表されていない
  • Ads Managerでの出稿とは、運用の担当者も数字の見え方も異なる。同時に使う場合は、重複や計測の設計が必要になる
  • 日本の広告主は、広告会社に提供国・対応DSP・計測の方法を早めに確認しておくと、提供開始に備えやすい

日本向けの案内や条件が出た段階で、本記事も更新していく。

出典

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